Saki’s Collection株式会社 代表取締役 江尻 早紀さん
PROFILE
長野市内の女子校を卒業後、上京し芸能事務所に所属。芸能活動を経た後、夜職に転職し、その後結婚して水商売を引退。出産して離婚を経験する。その状況で起業を決意し、麻布十番のエステサロンのM&Aを行う。
現在は3店舗のエステサロンを経営しながら育児に奮闘するシングルマザーである。
今後は自信の人生の背景を存分に活かせる、経産省も掲げる社会課題「女性起業家の輩出」というテーマへの取り組みを展開していきたいと考えている。
起業まではどんなことをされてましたか?
高校卒業後、都内に上京し芸能事務所に所属。
芸能の仕事をした後、夜職を得て、その後30歳で夜職をやめて結婚。
子供を出産して離婚、起業しました。
起業されて何年目になるんですか?
2年目になります。
夜職はどんな感じで働いていましたか?
西麻布のラウンジ、その後六本木のキャバクラに在籍してました。
若いうちって、西麻布のラウンジは通る道なんですか?
港区近郊にいるとみんな通っている道ですね。
そこから軌道修正できる人もいるし、また抜け出せない人もいますね。

なぜ夜職から美容業界で起業しようと思ったんですか?
実は私の中ではコンテンツはなんでもよくて、商売になる事業を探していました。
美容以外にも売りに出ている飲食店など見に行ったり、アンテナは常に張っていた気がします。
たぶん、離婚していなかったとしても専業主婦ではいられない人間性なので、起業して自分で仕事するという道を選んでいたと思います。
エステサロンを始めることに至ったのは、たまたまお話をもらって視察に行ったお店がものすごく素敵で、欲しい!買いたい!と思いました。
それが今のエステサロンの1店舗目を始めるきっかけになります。
もちろんエステの技術経験もなかったですし、企業に勤めたこともないです。
すべてのことが1からのスタートでした。
もともと運営されていたのを買ったんですか?
そうです。
もともと運営されていたご夫婦がいらっしゃって、「海外に移住したいから誰かいないかしら」みたいな感じでM&A先を探していました。
それなりに資金が必要の中、決断できた理由はありますか?
実はお金を最初に出すよって言ってくれていた人がいたのですが、入金日になって出資金が振り込まれませんでした。
買うって決めてからですか?
そうです。
結構その資金も高かったので、自分で「は~…」って最初は思ったんですけど、もう後に引き下がれない状態になっていたので決断したという部分もありますね。
後に引き下がれなくなってしまったのが決断するきっかけではありますが、断ろうと思えば断ることもできたと思います。
そうしなかったのは、経営素人なりに決算書等を読み、黒字で運営できるだろうという勝算があり、それも決断の要素にはなりましたね。更に、ここで一歩踏み出さないと今までと何も変わらないだろう、という挑戦の気持ちもありました。
予定されていた出資がなくなったとお聞きしましたが、ご自身で出されたんですか?
自分でなんとかして出しました。
その年離婚や詐欺被害など本当に大変なことがたくさんあって…ここまで続くのか。と厄年のすべてを担った感じでしたね。

男性の経営者が夜職の方に出資するというイメージが違う意味合いに感じることがありますが、実態はどうでしょうか?
キャバ嬢の子達に出資してくれるお客さんはいるかもしれませんが、その狭間でそれは本当にビジネスとして見てくれているのか、女として見られているのかっていうのは常に女性の課題だと思いますね。
ビジネスライクにやっていく方法などはありますか?
そうですね。
夜職をやる前に大手企業に勤めていたり、学歴があるとか、何かノウハウやスキル、特殊な経歴、ストロングポイントがあったり、他の人にはないものを持っているとか、そういうのが全くない子は、まずビジネスでこの子に出資したら返ってくるだろうと思われることは絶対にないと思っています。
100%色恋で見られていると思うので、なんでもいいから自分にしかできない、ここが強みだと言い切れる部分を育てて、そこで戦う事が必要だと思います。
必ずしも経歴、学歴がすべてじゃないのでインフルエンス力でもいいですし、とにかく人と違うものを磨くっていうことが大事ですね。
30代で起業を考えるとしたら、20代でやるべきことってなんですか?
私は夜職だったので人脈作りをしましたね。
運も大事だなと思うんですけど、運って結局やってきたことの積み重ねとか、それこそ人脈の上に成り立っているところがあるので、本当に起業をしたいのであれば先輩の経営者の方からいろんな失敗した話、成功した話を聞くこともおすすめです。
あとは必要スキルの習得ですかね。マーケティング、財務管理、営業など。それからやっぱりお金を貯められるなら貯めるべきですね。
夜職だと消費も多いと思うのですが、事業資金って貯めれるんですか?
私は昔から節約が上手だったので、早くからきちんと貯金をしていました。
理由は一生結婚できなくて一人なんじゃないかと思っていたので、一人で生きていくための生活資金を貯めといた方が良いなっていう感じで貯めていました。
20代の時は一人で生きていく設定でそのお金を使って仕事にしていくことを考えてましたね。
SNSと店舗経営をする中で、時間ってどのようにされていますか?
時間の使い方は今でも上手じゃないんですけど、24時間しかない中で自分の睡眠時間を削ればいいやっていう感じで、酷使してやっています。
今は自分が無理すればいいやぐらいでやってますが、それだといつか壊れてしまうので働き方を考えて、子どもとの時間も作れる環境を作っていきたいですね。

離婚されて、お子さんもいる状態で起業して責任を背負うような環境で、どのようにモチベーションを保たれていたんですか?
これは幼少期や学生時代から感じていましたが、私は逆境に陥った方が脳みそフル回転して力を発揮します。
背水の陣といいますか、崖っぷちの状況の方がものすごい火事場の馬鹿力を発揮する人間なんです。
困窮した状態じゃなく穏やかで落ち着いた日常だけを送ってしまうと、ただただ息して生きているだけで自分の人生がもの凄く退屈なものに感じてしまいます。
どんどんどんどん新しい負荷をかけていく方が、生き生きするタイプです。
そのような状態じゃないとモチベーションが保てないという人間性ですね。
もちろん子供の存在はとても大きく、自分より弱くて守らなきゃいけないものが あるという環境は、私という人物を一回りも二回りも大きくしてくれましたね。
そのタイミングで自分はそういう人なんだって思えたんですね?
そうですね、より実感しました。渦中にいる時はもちろん辛かったですし、毎日泣いていました。
苦しい苦しいって思いながらやっていたんですが、その後大きくジャンプするために、今はしゃがまなきゃいけないフェーズで、このステップは更に大きく成長する為に味わわなければいけない段階だとわかっていました。
映画もハッピーエンディングの前に主人公が必ず絶望な状況に陥りますよね。
その絶望が深ければ深い方がストーリーはおもしろい。そんな感じで、自分は物語の中にいる悲劇のヒロインみたいな感じを楽しんでいたところはありますね。だから最後は必ず自分が成功する人間だとわかっていました。
もう死にたいなみたいな時もありましたが、これを物語にしよう、成功を納めた後に必ず本によう。とそんな自分もいました。ちょっと変わってるかもしれませ ん。
今後新しいサロンを作るなら、こんなサロンを作りたいというのはありますか?
エステサロンでも、エステサロン以外のビジネスでも、新しいモデルが浮かんだら 01 で作っても全然良いなって思うんですけど、これだ!と思えるモデルがない限りはしないですね。
M&Aも向いているかなと思うので黒字にできる事業には積極的に投資して いきたいと思っています。
それから、夜職や芸能界にいた起業したい女性のセカンドキャリアを支援する事業も考えています。
女性起業家を輩出する。このテーマはわたしの生きてきた背景を存分に発 揮できるビジネスモデルだと自負しております。

