ALICE PLANNING株式会社 代表取締役 斉藤アリスさん
PROFILE
モデル、マーケティング会社経営。
オーストリアと日本のハーフ。『MORE』『an・an』『美的』など40誌以上の雑誌や広告で活躍。明治大学農学部を卒業後、ロンドンの美術大学院にてジャーナリズムの分野で修士号を取得。現在はSNSマーケティング会社「ALICE PLANNING (株)」を立ち上げ、さまざまな企業のマーケティングを支援中。世界のカフェを巡るカフェマニアで、これまで世界15カ国以上のお店を訪れ取材した。インスタグラム@cafeali
≪著書≫『斉藤アリスのときめきカフェめぐり』(2017年3月)
3日で鬱になって会社を辞めた私が見つけた天職
~世界10カ国のカフェを巡るモデルが語る、SNSマーケティングの本質~
まず初めに、自己紹介をお願いできますか?
愛知県の西尾市で育ち、生まれたのはイギリスで、ドイツで幼稚園まで過ごし、私自身は日本とオーストリア人のハーフです。日本に帰ってきて西尾で過ごして、東京の明治大学に進学したタイミングでスカウトされてモデルを始めました。
大学では農学部に在籍しながら、モデルの仕事をしていました。
大学卒業後はどのような道を選ばれたのですか?
勉強するために東京に来たのでモデルの仕事をずっと続けていくというイメージが湧かなくて、海外で働くとか住みたいなという思いがあったので、イギリスの大学院に受かった状態で4月から大手サービス会社に入社したんです。
その会社が楽しかったらずっと働こうかなと思ったのですが、入ったら3日で想像と全然違っていたので辞めたくなりました。
ただ、苦労して入ったからすぐ辞めちゃいけないと思って半年くらい頑張りましたが、全然合わなくて、辞めた1週間後からイギリスの大学に留学しました。

イギリスではどのような勉強をされたのですか?
その時に自分が会社員はできないなということも分かったし、辞めてはじめてモデルの仕事が好きだったことや、人見知りしない性格の自分に向いていたことに気がつきました。
大学院では最後まで農業系に行くか迷ったんですが、モデルの延長上にある学部にしようと思って、ジャーナリズム科、雑誌を作るコースに行ったんです。
卒業制作では世界10か国のカフェを108軒巡って、それを本にまとめました。
帰国後はどのような活動をされましたか?
日本に帰ってきた時に、世界のカフェめぐり本を卒業制作で作ったということでライターになりました。
その時にマガジンハウスのwebが立ち上がったタイミングでメンバーとして入って、色々取材したり日本全国巡って旅の記事を書いたりしました。
それがすごく自分に合っていたんです。それをしながら芸能事務所に入ることになりました。撮影のない日はずっとマガジンハウスでライターをするという感じでした。

現在の事業について教えてください
ライターとしては飲食店の取材、モデルとしては撮影が多かったので、コロナになって仕事がなくなりました。
その時カフェのインスタグラムで3万人くらいフォロワーがいました。(インスタグラム@cafeali) ちょうどコロナの時って色んな企業がYouTubeとか公式インスタなどSNSを始めたタイミングだったんです。
元々雑誌のページを作っていたから、コンテンツ制作できるだろうなと思って。周りの色んな事業をやっている知り合いに沢山連絡して、2020年から企業のYouTube作り、インスタ作りをどんどん増やしてSNSをブランディングする事業を始めました。
クライアントさんはキッチン用品、食品関係、美容クリニック、不動産、建設業まで、ジャンル問わず幅広く手がけています。
海外展開についてはいかがですか?
海外で仕事したいなってずっと思っていたので先月ドバイに行ったんです。
ドバイってマーケティング大国で国のInstagramアカウントもすごく進んでいるし、色んな飲食店もガッツリInstagramをやっているのが普通なんです。
向こうで私と同じような仕事をしている人と会ったりしましたが、マーケターがすごく多く住んでいて日本よりもアプリも含めて精度も高いし進んでいると思いました。ドバイでも何か進めていきたいと思っています。
企業へのマーケティング提案で意識していることは?
それぞれの企業によって予算、人的リソース、商品、露出できる範囲みたいなのがまず制限があるんです。
例えば、社長は積極的に出たいのか出たくないのか、社員は動画に出たいのか、化粧品だったら薬機法があるから何が謳えて何が謳えないかとか、そういう細かい制限の中で年間1万人くらいフォロワーを増やすためにアカウントを成長させる方法を考えています。
大前提としてSNSやるなら流行らないと意味がないので、どういう社内のリソースで何を使えば人気の出るアカウントになるのかをブランディングしています。

現在のライフスタイルについて教えてください
保護犬を引き取って犬を飼っているので、犬がOKなカフェに朝から行ってそこでメール返したりして、午後から打合せしたり撮影に行ったりという感じです。
ノマドワーカーに近い感じですが、現場に撮影に行くことが多いので、ノマド×現場に行くという働き方です。
月決めの仕事しかやっていないので毎月の流れが読めるんです。お客さんと日程調整ができれば海外にも行けます。
今後挑戦したいことはありますか?
会社をつくってはじめて管理する側の仕事を経験しています。
モデルやライターの時は管理される側だったので、今はいろんな人にお仕事をお願いするようになってすごく難しいなと思っています。
その人が楽しく働くようにしてほしいし、とはいえいい加減な仕事をされたら回らないじゃないですか。そういう良い人たちと一緒に良いチームを作っていくことに今すごく興味があります。
事業をスケールさせるには一緒にやっていく仲間が必要ですね。
働き方についてのお考えは?
私が10年くらいJwaveのラジオの仕事やhanakoの連載、ウェブマガジン制作などを続けられた理由はフリーランスというか、案件ベースで受けていたからだと思っています。自分の体調や気分に合わせて、休んだり働いたりできるのが私には向いていました。
誰かを雇うことも考えたんですが、そうじゃない働き方の方が今っぽいのかなと思います。社員とかフリーランス問わず、ちゃんとやる方はやってくれるのでそういう働き方を目指しています。
20代、30代の女性へのメッセージをお願いします
会社員が合わないと分かった時、最初はとても不安でした。でも自分が好きな事というか嫌じゃない事を見つけて続けていくうちにそれが仕事になっていったんです。
モデル、ライター、SNSブランディングと一見バラバラに見えるかもしれませんが、全部『コンテンツを作る』ということで繋がっていました。
今の時代は働き方も多様化しているので従来の枠にとらわれず、自分らしい働き方を見つけてほしいと思います。案件ベースでも、社員でも、自分が楽しく続けられる形を模索することが大切だと思います。

