INTERVIEW

土谷愛さんプロフィール

株式会社マイディアル代表取締役 土谷愛さん

PROFILE

独自の自己分析メソッドを軸にしたキャリア支援事業として、適職を見つける「自己分析」から強みを活かす「転職・副業・起業」をワンストップで学ぶメディアやeラーニングなどを運営する。
著書に『自分だけの強みが遊ぶように見つかる 適職の地図』『自分を知る練習』『13歳のときに知りたかった強みの見つけ方』などがあり、フジテレビノンストップ!・anan・日経WOMANなど多数のメディアにも出演。
著書の発行部数は国内外で7万部を超え、自分らしいキャリアのヒントを学ぶ公式メールマガジンの読者数は累計1万名を超える。
プライベートでは一児の母として、子育てと仕事の両立にも奮闘中。

「話すのが苦手」から営業トップへ~“聴く力”で見つけた私の強みと、起業への道~

大学卒業後から今までのキャリアを、簡単に教えてください。

新卒の就職活動はかなり苦戦して、結果的に“ご縁がつながった会社でまずは頑張ろう”という形で社会人をスタートしました。1社目はお酒を販売する会社で、営業職でした。ただ、私は人見知りで営業が得意とは言いづらく、威勢のよい人が多い会社の雰囲気にもなじめなくて…。自分なりに努力しても大きな成果に結びつかず、悩んだ末に1年ほどで転職を決めました。
2社目は広告業界の営業職です。ここでも最初は苦戦したのですが、ある出来事をきっかけに、自分の強みが見えてきて。そこから成績が大きく伸びて、数年かけてマネジメントやプロジェクト推進も経験しました。その後、ITサービスの上場企業に企画職として転職し、ギフト系サイトの営業企画に携わりました。そこでの経験を経て、起業という道を選びました。

強みが見えたある出来事とは?

営業部の先輩の一言が私を大きく変えました。当時、私は人前で話すことに苦手意識が強く、とにかく営業トークを毎日練習していたんです。そうしたら先輩が通りかかって、『それだけ練習しているのに、なかなか上達しないね』みたいなことを言いながら(笑)、ふと『でも、あなたは“話す”より“聴く”方が好きそうだし、向いてそうだよね』と言ってくれたんです。その一言で、初めて“自分の強み”を真剣に考えるようになりました。確かに、人の話を聴くこと自体はすごく好きだったんですよね。

そこから営業スタイルを変えたんですね。

それまで“頑張って話す”が中心だったのを、思い切って“聴く”を中心に変えました。商談の中で話す割合を減らして、相手の状況や悩みを丁寧に引き出す方に寄せていったんです。そうしたら、お客様の反応が明らかに変わりました。今までならば淡々としていた場面でも会話が広がったり、悩み相談のように本音を話してくださることが増えて。そこから成績も一気に伸びて、営業の結果が大きく変わりました。“自分を理解すること”で、こんなに成果が変わるんだ、と実感しましたね。

広告営業という“無形商材”も、その強みに合っていた?

そう思います。1社目のお酒の営業は“商品を提案する”という色合いが強くて、次々に新商品を目標数まで売るという環境でした。一方で広告は形がない分、相手の課題を聞いて、何が必要か一緒に整理して、提案を組み立てていく。だからこそ、“聴く力”が成果に直結したんだと思います。

土谷愛さん

その後、企画職に転身した理由は?

広告営業で成果が出るようになって、自分の中で視野が広がりました。次は“売る”だけではなく、“設計する側”にも関わりたいと思って企画職にキャリアチェンジしました。企画職では、サービスの上流から下流までがつながる感覚を得られて、『ビジネスってこうやって作られていくんだ』と体感できたのが大きかったです。今の仕事にもつながっています。

起業後は“自己理解”をテーマに活動し、本も5冊出版されています。起業の事業内容は?

私自身が「自分の強み」や「自分に合った働き方」などと見つけられずに悩んだ経験から、「自己理解」や「自己分析」にまつわるキャリア支援事業を立ち上げました。消費者向け事業としてはメディアやEラーニングスクールの運営で、受講料をいただいて講座を提供しています。おかげさまで反響をいただき、近年はキャリアにまつわる著書の執筆やメディア出演などにも挑戦中です。法人向け事業としては研修や講座開発の支援などが中心ですが、企業や商品の強みを活かしたマーケティングやブランディング支援を請け負うこともあります。

出版したいと思ったきっかけは何でしたか?

「キャリアや自己肯定感などで悩んでいる方に対して、もっと着実に弊社のメソッドを届けたい」と思ったのがきっかけです。起業当初はSNSでの発信が中心でしたが、私自身、大きな悩みから抜け出せずに悩んでいた時期に本に救われた実体験がありました。そこで、書店という場所なら「昔の自分のように、悩みの解決策を探している方に出会えるのではないか」と感じたのです。ただ、最初は出版に関する知識や出版社の編集者さんとの人脈もなかったので、著者の方が主宰しているオンラインサロンに入り、企画書の作り方を学びました。のちに編集者さんが来るコンペの機会に恵まれ、そこで企画書をプレゼンして出版が決まりました。

土谷愛さん

出版後、どんな変化がありましたか?

大きく変わりました。消費者向け事業では認知が広がって、今までは発信が届かなかった方が講座を受講してくださるようになりました。法人向け事業も、メディア出演(テレビ・ラジオ・雑誌など)につながったり、実績が積み重なることで研修登壇などのお問い合わせが増えたり。とくに法人とのお取り引きが広がったのは、本が明確なきっかけだったと思います。

5冊も出していると、ネタ切れや“書けない時期”はありませんか?

もちろん波はあります。ただ、日々インプットしていると、自然とアウトプットの種が増えていく感覚があって。とくにお客様のリアルなお悩みを聞くと『こんなことを伝えられたらいいな』とか『これ、今の時代に必要だな』とテーマが浮かんだり、書店で本を眺めるうちに『私ならこう考えるな』とヒントが生まれたり。このように自然とインプットが続いている限りは、今のところ書けています。

今の働き方はどんなバランスですか?

「好きな時間に好きな仕事を好きなだけ」という働き方に近いです。というのも、消費者向けにご提供している講座は基本的にオンデマンドで学んでいただくスタイルのため、リアルタイムの登壇はなく、運営側のサポート体制や仕組み作りなどが中心です。法人の大きなお取り引きは数を絞って丁寧にお受けするようにしているので、普段は事業のリサーチをしたり、経営にまつわるインプットをしたり、本を書きたい時には夢中で本を書いたり、あまり予定を詰め込みすぎない働き方を意識しています。

起業の背中を押した“もう一つのきっかけ”があったそうですね。

3社目のIT企業にいた頃、副業で節約ブログを書いていました。顔出しもしていない、ごく普通のOLのブログだったのですが、続けていたら読者が増えて、紹介したものが売れたりして。その時に『会社の看板がなくても、大きな実績や才能などがなくても、自分の等身大の発信でも収入を得られるんだ』という小さな成功体験ができて、独立を現実的に考えられるようになりました。

土谷愛さん

キャリアに悩む人へメッセージをお願いします。

現代人は忙しく、“自分と対話する習慣”が圧倒的に足りない方が多いと感じます。私も含め、情報があふれているからこそコスパやタイパ意識が強まり、すぐに「正解」を探す癖がついているというか。でも、誰かにとっての「正解」とされているものを探す前に、自分が何が好きで、何が苦手で、どんな働き方なら続けられるのか。そこが見えていないと、キャリアの納得度や満足度がいっこうに高まりません。そんなお悩みがある方は、まずは日々の小さな選択を丁寧にすることから始めてみるのがおすすめです。今日のランチ、服、退社時間など、身近な選択で“自分の声”を優先する経験を積み重ねると、やがて大きなキャリアの分岐点でも『私はこうしたい』が見えやすくなると思います。

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