美容系インフルエンサー/経営者 Asuさん
PROFILE
29歳経営者(美容系インフルエンサー・ネイルサロン2店舗・SNSコンサル)
メーカー総務での人事広報の経験と、10年のSNS活動を経て29歳で脱サラ・起業。
個人SNS総フォロワー20万人と法人アカウントでの企画運用、マーケティング経験を活かし、地元である静岡県内にて現在ではネイルサロンを経営。
自身の会社員、個人事業主での生き方を基に、自立した女性を育てる仕組み作りに励む。
転職、SNS収益化、そして起業へ~女性が稼げる環境を作りたい。金融機関出身の異色ネイルサロン経営者の挑戦~
これまでのキャリアについて教えてください。
静岡県浜松市出身で、東京の大学でフランス語を学び、留学も経験しました。ただ、思ったほど仕事に活かしたいという気持ちが芽生えず、地元に戻って新卒で金融機関に就職しました。3年ほど勤めましたが、とてもハードな職場だったので、その後いくつか転職しました。
メーカーの総務で勤めながら、自身のSNS運用の経験をもとにグループ会社のSNS企画運用などもさせていただき、現在は自分の知見を活かして地元の浜松市でネイルサロンを立ち上げ、4ヶ月で満席サロンへ。同年の25年12月に磐田市に2店舗目をオープンしました。
SNS活動を始めたきっかけは?
残業して夜遅くまで働いていた以前と違い、事務の仕事は18時の定時で終われるようになりました。時間ができたので、趣味だったスキンケアやコスメをSNSに投稿し始めました。お気に入りのものを紹介していたら、フォロワーさんがどんどん増えて、現在はTwitterで約8万人、楽天ROOMで10万人、Instagramで約1万人の方にフォローしていただいています。
会社員とSNS活動の両立はいかがでしたか?
25歳から28歳までの3年間、アカウントを育てながら企業様から案件をいただくようになりました。PR依頼をいただいて投稿したり、企業様のSNSフォロワーや売上を上げる依頼なども受け、その収益で資金を貯めていました。会社員をしながらの活動でしたが、一人で相応の年収を得られるようになり、周りの友人で同じくらい稼いでいる人が少ないことに気づいたんです。
そこで何か気づきがあったのでしょうか?
人生が変わり、お金の大切さもさらに実感しました。稼いでも税金が引かれ、生活費もかかる。でも同時に、もっと世の中の女性が稼げたらいいのにという気持ちも強くなりました。SNSでの発信は好きでしたが、他社の商品をひたすら紹介してお金をいただくというスタイルに、やりにくさも感じていたんです。自分のSNS力やマーケティング、ブランディングを何かに活かしてみたいと思い始めました。

どういうやりにくさですか?
スキンケアのジャンルでフォロワーを増やしてきたので、いろんな商品を紹介すると『結局どれを使って肌がきれいになったの?』と見ている方が混乱してしまう。簡単に収益を得られる一方で、自分のブランディングや信頼性とは相性が合わないと感じていました。そこで2〜3年かけて、自分が志を持ってできることは何かを模索しました。
ネイルサロンを選んだ理由は?
ネイルがとても好きで、ネイルで世界観を表現し、自分のSNSを使ってサロンの魅力を発信していきたいと思ったんです。でもそれ以上に、ネイルサロンで働く方々を稼げる状態にしたいと強く思いました。結婚しても出産しても、正社員の時間や給料に縛られず、自分の好きな時間で働いて、自分のスキルにファンがついて生活できる環境を作りたいと思いました。
具体的にどのようなサロンを立ち上げたのですか?
会社員向けのネイルと、手が綺麗に見えるワンホンネイルを両立させたもの、韓国風の上品なデザインなどをメインに展開しています。浜松や磐田エリアであまり多くなかったので、絶対に需要があると確信していました。パキッとした色やギラギラしたデザインではなく、会社員の方や普通にお仕事をされている方が、お手元をきれいに見せたいと思えるようなターゲット層に絞りました。上品なネイルというコンセプトで、浜松で一番可愛いサロンを目指しています。
働き方の面で工夫されている点は?
スタッフは業務委託で、シフトも提出させていません。テナント費用と広告費用は全て私が負担し集客も私がやりつつ、施術料は高い還元率でスタッフにお支払いしています。正直こんないい職場、他にないと思います。
個人サロンで一人では技術も向上しにくい反面、店舗に入ると融通が利かないところがあります。良いとこ取りをしたかったんです。みんなで借りて固定費を割り、集客は私が手伝う。全員がWin-Winな関係を築いています。
ご自身はネイリストではないのですよね?
はい、とても不器用で(笑)私は運営とマーケティングを担当しています。ネイリストさんは職人気質の方が多く、技術はあっても集客や経営が難しいという方も多いです。私はマーケティングの観点から、『こういう世界観でやりましょう』『こういうネイルサンプルを作ってください』『こういう投稿をしてください』と、ひたすらお客様の立場になり続けることを意識して見せ方と集客の部分で指揮を執っています。
地方でのマーケティング戦略はいかがですか?
最初は『ワンホンネイル』で打ち出そうと思っていましたが、地方ではその言葉を知らない方も多く、ターゲットが狭まってしまうと考えました。そこで『タイムレスに愛される、手がきれいに見えるデザイン』という表現に変え、入り口を広げることで、ワンホンネイルが好きな方も、ナチュラルなデザインが好きな方も来てくださるようになりました。
よくあるマーケティング戦略ではまずペルソナを設定するようにという考えもありますが、地方では逆で、当サロンが便利だと感じてもらえる層を増やす高い浸透性が必要だと考えています。何が便利なのか、何が浸透するのかにおいて一番大切なのはやはりどれだけお客様の立場に立てるかということだと思ってます。
東京と地方のマーケティングの違いは?
地方では新規の数を追えないので、お客様お一人お一人の満足度を高めることを最優先にしています。当店ではお一人お一人を大切にもてなす接客を心がけています。都心のように広告をかけて一見様をこなすのとは違うアプローチが必要で、地方は決まったコミュニティがいくつもある状態なので、そのコミュニティで広まってもらうためには質が重要だと感じています。
常にマーケティングの知識をアップデートされているそうですね。
マーケティングセミナーや集客セミナーによく参加しています。ですがマーケティングは教科書に書いてあることをそのままやってもうまくいかないことが多いです。成功するまでインプットとアウトプットを繰り返し、戦略がハマるまでトライアンドエラーの日々です。スタッフの集客を担っているという責任感を持って、常に知識のアップデートをしています。また、経営をしているからこそマーケティングの必要性について考えが深まっています。
お金に対する価値観について教えてください。
自分と同じくらい稼いでいる方が、夜職の方しかいないことに気づいた時、『まずは自分の周りから、この世の中を変えてみたい』と思いました。能力もスキルも高い女性たちが、家庭とプライベートの両立にエネルギーを使いすぎていると感じます。『独身だから時間があって稼げるよね』『子供がいないからできるよね』と言われたこともあります。
20代後半の女性特有の悩みですね。
子供がいる友人は時間がなくて大変で、私は時間があることを羨ましがられる。でもそれがお互いにマウントのように感じてしまう。ですが、女性がどのライフステージでも充実し幸せを感じられるのは、やりたい仕事をやりながら時間とお金に余裕あることだと気づいたんです。結婚していても子供がいても稼げる仕組みを作り、スキルを出し合って相互補填できる環境が必要だと思いました。

それがネイルサロンという形になったのですね。
スキルを磨けば磨くほど自分にファンがついて、自分にお金を払う価値があると感じてくれる人が増える。ネイルの業務委託なら、限られた時間でも働けますし、スキルを磨いて上手になればなるほど稼げるようになります。私の理想とする働き方がすべてマッチしたのがネイルサロンでした。『私についてくればみんな稼げるようになるよ』という場所を作りたかったんです。
実際にスタッフの方々の反応はいかがですか?
現在6人のスタッフがいますが、それぞれ異なる背景を持っています。
工場から来てくれた方は、子供のために、時間内に効率よく業務をこなしても評価してもらえませんでした。今は出勤時間は以前より短くなりましたが、時給は倍に増え、家族との時間も作れると喜んでくれています。
元々サロン経営をされていた方は、離婚でサロンを手放し、静岡に引っ越してこられました。サロンの集客力で働き始めから多くのお客様が来てくださる状態なので、その方も日頃から独立しなくてよかった、と言ってくださっています。
最近採用した方は実力がある方で、うちに来てからは1日で5名以上のご新規様を担当する日もあり、今月も半月ほどで50人以上のご新規様を施術しています。単価が増えお給料も倍以上になったそうです。責任も増えましたが、今やっとネイリストとして胸を張れると言ってくれます。
採用で大切にしていることは?
私は採用もマーケティングの一つだと思っています。お客様にとって魅力のあるサロンに人材も集まると考えているので、採用の際は条件ではなく、ビジョンを一緒に共有できる方を採用しています。サロンの世界観が好きで、自分自身の行けるところまで本気でやっていきたい方、スタッフとして泥臭く頑張れる人を求めていると伝えています。お支払いしている報酬以外の時間もたくさん使ってくれるのは、みんながビジョンに共感してくれているからだと思います。
今後起業したいと考えている方へのアドバイスをお願いします。
私がまだ会社員時代に背中を押してもらった言葉があります。『経営なんてやった人にしかわからない。早くやって早く失敗した方がいい』確かにその通りだと思いました。経営は経営した人にしかわからない。だから悩んでいるなら、一秒でも早くやった方がいいと思います。
実際に経営してみると、わからないことや想定通りにいかないことがばかりです。会社員だった私はこの一年で6人をまとめる立場になりマネジメントの壁にもぶち当たりました。この一年はものすごいスピード感で経験値や能力、物を見定める力が身につく毎日です。それでも自己成長の機会として、楽しんでやっています。早くやって早く失敗すれば、軌道修正できます。
起業して失敗したら人生終わりではありません。本気でやって失敗したなら、本気になって巻き返せばいい。そのくらいの気持ちがあれば、やった方がいいと思います。

20代、30代の女性へのメッセージをお願いします。
女性は人生のどのステージでも、さまざまな選択を迫られます。キャリアか家庭か、ではなく、どちらも大切にできる働き方があるはずです。お金を稼ぐことは自由を得ること。時間の余裕も心の余裕も、すべてそこから生まれます。SNSでもネイルでも、自分の好きなことや得意なことを活かせば、必ず道は開けます。大切なのは、自分が本当にやりたいことに気づき、一歩踏み出す勇気。失敗を恐れず、まずは行動してみてください。


